情報科学屋さんを目指す人のメモ

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日本レコード協会の無料音楽アプリ対策「広告収入を断つ取り組み」について

日本レコード協会 (2) 無料音楽アプリ (56) 著作権 (20)

ずーっと書こうと思って忘れていた、日本レコード協会(RIAJ)の事業計画書からわかる、「無料音楽アプリ対策」の紹介記事を書いておきます。

ちょうどエイベックスがJASRACを離脱する、というニュースがあったので、それをきっかけと思って。

こういうアプリ界隈の話、アーティストの方々は、どう思っている、そもそも知っていたりするんでしょうか。

過去記事

以前調べた時の対策

今までの対策は、楽曲データの供給源となっている海外サイトへの削除要請(中国出張など)や、アプリの削除要請、アプリ作者への注意喚起・警告、違法ファイルへのリンク削除要請などでした。

つまり、2大拠点である「(削除要請を受けてくれない悪質な)楽曲データ供給源サイトの音楽データを消す」と「(そのサイトを利用している)無料音楽アプリを消す」という2つの「消す」系の対策が中心となっていました。

平成27年度事業計画書

さて、一般社団法人 日本レコード協会 の 平成27年度事業計画書において、「[1]レコード等の普及に関すること」に次ぐボリュームがあるのが「[4]著作権および著作隣接権等の普及・啓発に関すること」です。

その章の冒頭「1.(1)」にあるのが次の文です。

違法配信対策の専任組織「著作権保護・促進センター(CPPC)」での違法音楽ファイルの削除要請の継続実施など、違法対策の強化と効率化を図る。

※この「CPPC」が、以前訪問した部署ですね。

今回注目したいのは、「1.(3)」です。

違法な音楽利用を助長するスマートフォン向け有害アプリに関して、アプリ提供者等に対する注意喚起・警告活動や、アプリ削除要請、違法ファイルへのリンク切除要請、ファイル削除要請等を継続実施するほか、サイト広告事業者団体と連携し、有害アプリ情報を提供し、有害アプリ製作者への広告収入を断つ取り組みを行う。

「サイト広告事業者団体」の具体的な団体名が書かれてはいませんが、「有害アプリ情報を提供し、有害アプリ製作者への広告収入を断つ取り組み」となっているので、方針はよくわかります。

また、直前にある「継続実施ほか、」からわかるように、この対策が、今年度から実施された新しい取り組みであることがわかります。

無料音楽アプリの収入源

基本的に、無料音楽アプリの収入源は、アプリ内に設置したアフィリエイト広告です。

無料音楽アプリには、恐ろしい量の広告が表示されますが、それでも利用する「無料で音楽を聞きたいユーザ」がたくさんいるわけで、ものすごい金額を稼ぎ出しているはずです。

この収入源を、どこかで断つわけです。

広告費の流れ

広告収入(広告費)の流れは、大雑把に言って、次のようになっています。

「広告を出したい会社(大量)」

「広告を取りまとめる会社(代表的な数社)」

「広告が表示されるアプリを作った人(今回で言えば無料音楽アプリ)」

「無料音楽アプリ」に直接お金を与えるのは、「広告を取りまとめる会社」から、というのがポイントです。

なので、普通に考えて、日本レコード協会は、そちらに「悪質なアプリの情報」を提供しているのではないかと考えられます。

効果は?

このような対策が今季の事業計画書に書いてあったわけですが、未だに、無料音楽アプリに広告が出なくなった、という話は聞きません

というのもまぁ、この対策が進んだとしても、「いくらでも広告を配信してくれる会社の代わりはある(そんなにあるっけ?)」「いくらでも新しいアプリは出てくる」ということを考えれば、多少広告の提供・広告費の提供をストップしたところで、そのアプリが淘汰されるなり、代わりのアプリが出てくるなりで、効果が「広告が全然」とは現れてこないとはならないので、まぁ仕方ないことです。

ただ、アプリ製作者と直接お金の遣り取りをする「広告を取りまとめる会社」が、仮に振込先の銀行口座や、名義人(住所付き)をブラックリスト化すれば、アプリ製作者が大ダメージ(同じ広告事業者からお金を受け取れなくなる)のはずですが…どうなんでしょう。

最も有名な無料音楽アプリ「iLoveMusic」を見てみる

せっかくなので、無料音楽アプリにどんな広告が表示されているのかを見てみることにしました。

今回チェックしてみるアプリは、無料音楽アプリの代名詞たる「iLoveMusic」です(AppStoreに出たり消えたりを繰り返しているので、見かけも機能も区別つかないものがいくつもあるので注意。そのうちのひとつです)。

再生画面

たとえば、音楽再生時に表示されたのが次の広告です。

riaj-business-scheme-h27-ilovemusic-start-play

今回表示されていた広告が宣伝している「ぼくとドラゴン」はイグニスの提供しているゲームです。つまり、広告主はイグニスです。

ここで注目したいのが、広告の右上をタップした時に表示される「Ads by nend」の表示です。

nendは、A8.netやMoba8.netなども提供している「株式会社ファンコミュニケーションズ」のサービスで、「広告を取りまとめる会社」に相当します。

この時点で、「nend」経由での「広告が表示されている」ということが確認できてしまい、「nend → (最大の)無料音楽アプリ」という、広告費の流れが予想されます(※「広告が表示されているけれど、広告費は流していない」という可能性は排除できないが、それならどうしてそんなアプリでの広告表示を止めないのか、となる)

ランキング画面(1)

ランキング画面も見てみます。

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こちらは広告主が「グノシー」で、「Ads by Zucks」と表示されています。

Zucks」は、株式会社VOYAGE GROUPの子会社の株式会社Zucksが運営する、「広告を取りまとめるサービス」の名前です。

ランキング画面(2)

また、広告が切り替わった後のランキング画面がこちら(iLoveMusicは、収益化に力が入れられており、時間が経つと、広告がアドネットワークごと切り替わったりします)

riaj-business-scheme-h27-ilovemusic-ranking-i-mobile

今度は、株式会社アイモバイルの「i-mobile」でした。

まだまだ広告配信は止まっていない

こうやって見ると、とても有名な広告配信事業者(nend, i-mobile, zacks)から、有名な無料音楽アプリへの配信が続いている様子がわかりました。

他のアプリを見れば、他の広告配信事業者の広告が表示されたりするかもしれないので、別にこの3箇所だけ、というわけではないことに一応注意してください。

ただ、iLoveMusicはAppStoreから削除された状態ですが、未だにユーザーが多いことが特徴です。

実は現在、iLoveMusicの再生機能が1日ほど使えなくなっているのですが、それに対する多くの反応をTwitterで見つけることができ、利用者の多さを感じます。

ここの広告配信が止まるだけで、だいぶインパクトがあると思ったのですが、そう簡単にはいかないようです。

今後の動向が気になります。

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