情報科学屋さんを目指す人のメモ

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「平成19年の布田川断層調査によると7000年目」の噂について調査結果報告書を読んでみた

地震 (50)

九州の地震の影響で様々なデマ・噂が拡散されています。そのひとつの「布田川断層は7000年おきにM7.6の大地震を起こし、今年がちょうどその7000年目」という噂が拡散され続けています。この噂について紹介し、調べたこと・思うことを書いておきます。

拡散中の噂本文

現在拡散されている噂の本文は、次の文章です。この文章の冒頭に、拡散希望と付け加えられていることが多いです。

平成19年に日本が熊本県熊本市御船町の地底調査をした結果布田川断層という断層が見つかり
その断層は7000年おきにマグニチュード7.6の大地震を起こす断層で、
今年がちょうどその7000年目だそうです

このことは布田川断層平成19年て調べたら出てきます

数日はまじで危険だから外で寝て!
縦に揺れて家が潰れるから!

雲がナイフで切ったみたいに割れたら地震がきます。

これから天気が崩れてきて低気圧になって岩盤を抑える力が弱まって大地震になります。

これは本当に嘘じゃないからできるだけ多くの人にまわして!

7000年ちょうど周期なんてことはあり得ない

これを見て思う所は多数あるのですが(特に後半)、この噂の中心的な裏付けようとしているポイントである、「7000年おき」と「ちょうど7000年目」という部分がとても気になります

地震の予測や地震そのもので、そんな「7000年周期」ときっぱり分かっていることなんてありません。そうであれば、初めから「今年の発生確率100%です」のような予測ができてしまいます。つまり、「ちょうど7000年目」であることに意味はありません。また、地層や物質の組成を調べるにしても、7000年前という、史実と対応付けられないような、はるか昔の事実について「7000年ぴったり前」を知ることは出来ないはずです。

実際に「布田川断層平成19年て調べたら出てきます」を実行してみる

やはりこの噂でもう一つ気になるのは、「布田川断層平成19年て調べたら出てきます」という記述です。

というわけで、実際に調べてみました。

すると、「布田川・日奈久断層帯の活動性および活動履歴調査」という調査結果(PDF)を発見することができました。

  • PDFのURL:http://jishin.go.jp/main/chousakenkyuu/tsuika_hokan/h18_futagawa_hinagu.pdf

産総研による調査だったようです。

「7000年」の周期について

この調査結果の報告書から「7000年」に関連する記述を探してみると、「平均活動間隔」という欄に、断層の中のより詳細な地域ごとの地震発生周期(活動周期)についての言及がありました。

まずここで「おい、平均じゃないか」と思って欲しいのですが、さらに「約7000年-14000年」と書かれており、「約7000年周期」ですらなく、7,000と14,000という2倍の開きがある中の、最小側の数値に過ぎないことがわかりました。

北東部 2m程度

中部
3m程度の上下方向のずれとそれ以上
の量の右横ずれ(横ずれ量は不明)

南西部 不明
北東部 約11000-27000年

中部
 ケース1 約3500-11000年
 ケース2 約7000-14000年

南西部 不明

また、より詳細が記述される所には、以下のように書かれていました。

断層帯中部については2つの可能性(ケース)があるとされ,ケース1の最新活動時期は約 7,500 年前以後,約 2,200 年前以前の可能性,平均活動間隔は約3,500-11,000 年の可能性があるとされた.またケース2の最新活動時期は約 8,000年前以後,約 7,500 年前以前の可能性,平均活動間隔は約 7,000-14,000 年の可能性があるとされた.中部が単独で活動する場合,マグニチュード 7.6 程度の地震が発生すると推定され,今後 30 年以内にそのような地震が発生する確率は,ケース1の場合でほぼ 0-6%,ケース2の場合で 0.03-2%とされた.

マグニチュード7.6という数字が出てくるのがここだけなので、噂はやはりこの地域のことを指しているのではないかと思うのですが、7000年周期のちょうど7000年なんだ、という話は見つけることができませんでした。

それどころか、30年以内の発生確率は、とても低く見積もられています。他の地域については「不明」が多いです。

布田川断層の発見はそもそも平成19年ではない!

また、今さら気が付いたのですが、噂の中では「平成19年に布田川断層が発見された」となっているのですが、布田川断層と命名されたのは、1969年であることがわかりました。

「布田川断層」は、1969年に、「渡辺一徳・小野晃司(1969):阿蘇カルデラ西側,大峰付近の地質.地質学雑誌,75,365-374.」の論文中で命名されたようです。

デマ

この噂のおかしい所を挙げればまだまだあるのですが、ひとまずここまででデマだな、と分かっていただけたかと思います(やりすぎ&無駄が多い)。

そして、その結果、噂の指示に従って調べても、こんなことになるよ、というのを調べずして感じ取ってもらえたかと思います。

今回の熊本の地震が「布田川断層」と関連することは本当

しかし、今回16日未明の熊本の地震が「布田川断層」と関連することは、国土地理院も発表しているようです。

国土地理院は16日、同日未明に起きた本震の震源が布田川(ふたがわ)断層帯とみられると発表した。 引用元

もちろんこれ自体に、先ほどの噂の中核である「ちょうど7000年目」という話を裏付けるような話はありませんが。

布田川断層の調査に関する参考資料

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