情報科学屋さんを目指す人のメモ

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画像加工アプリ「Prisma」利用規約の内容とサーバーに画像が送信される挙動についての注意点

iPhone (742) Prisma (9) カメラアプリ (19) 利用規約 (8)

AppStore1位のアプリ「Prisma」が人気です。Prismaは、指定した画像を絵画風に変換してくれるアプリです。

ちょっと気になって、その利用規約を読んでみたのですが、Prismaが画像を変換の仕組みについて誤解して利用されているのではないかと思うので、利用規約の該当部分や、Prismaの挙動および、注意点を紹介します。

prisma-terms-of-use-server-side-processing

Prismaの利用規約

Prismaの利用規約は、アプリの公式ページにあります。

Prismaで加工した画像は、Prisma社が利用可能になる

だいたいこのタイプのアプリだと、最初に「content」で検索してみたくなるのですが、このPrismaでも「content」で検索してみました。

すると、こんな文面が見つかります。

Prisma does not claim ownership of any Content that you post on or through the Service. Instead, you hereby grant to Prisma a non-exclusive, fully paid and royalty-free, transferable, sub-licensable, worldwide license to use the Content that you stylize on or through the Service, subject to the Service’s Privacy Policy, available here http://prisma-ai.com/privacy/, including but not limited to sections 3 (“Sharing of Your Information”) and 4 (“How We Store Your Information”). 引用元

ここでは、「あなたがサービスを利用して変換したコンテンツに対する、『非独占的で、全額支払い済みかつロイヤリティーフリーで、譲渡可能かつサブライセンス可能が可能な国際的なライセンス』を、あなたはPrismaに与えることとします」ということが書かれています。

つまり、細かいところを省略すると、「Prismaのアプリで変換したコンテンツを利用する使用許諾を、Prismaに付与します」に同意したことを意味します

※「Prisma does not claim ownership(所有権は主張しない)」が前提となっている点には注意。また「non-eclusive(非独占)」なので、権利が独占される(奪われる)わけではない点も注意。そして、「subject to the Service's Privacy Policy(プライバシーポリシーに基づく)」範囲で利用されるとしている点も注意。

「Prismaはただの編集アプリ。投稿サイトじゃない」の認識がポイント

これがもし、Twitterの利用規約や、Instagramなど、ユーザーが「投稿」するサービスであれば、このような利用規約にも納得いくものではないかと思います。

今回重要なのは、Prismaは、単なる画像編集アプリ(のはず)で、Prismaというサービス自体に「投稿」する場所はないのです。

すると問題になるのが、あれ?もしかして、画像って収集されているの??どうやって利用するつもりなの?という、疑問です。

追記:このあたりの「もやもや」や、この後も繰り返し感じる「もやもや」たちの根本的な原因は、投稿機能があるInstagramの利用規約を、投稿機能がないPrismaに流用したことが原因のようです。そのあたりの"種明かし"的なお話はこちら!→「Prismaの利用規約とInstagramの利用規約を比較してみた

そもそも画像の加工はPrismaのサーバー側で実施されている

この「疑問」や「戸惑い」の元になっているのが、画像の加工は、iPhoneの中で行われているという"誤解"です。

実は、そもそもPrismaでは、あなたが編集対象として選択した画像をサーバーに送信した上で、サーバー側で変換を実施し、その結果をまたiPhoneに送り返してきているのです。

この点については、TechCrunchもそう伝えています。

All processing is done in the cloud on the team’s servers, rather than on the device. TechCrunch

その分、処理が高速である、という話のようですが(十数秒かかったりするけど;)

秘密の画像をPrismaで変換する際は要注意!

実際、そのような仕組みになっている関係上、ネットワーク回線が切れていればエラーになってしまいます。

また、海外サイトでは、この点について「秘密の画像、見られたくない画像について、Prismaを使ってはいけません」と警告しているサイトもありました。

Note: Prisma processes your photos online. That means if you have private photos you don't want any server having access to, or you're troubled by Prisma's terms of service, don't give it those photos or don't use it at all. 引用元

もちろん、iCloudだって、Googleフォトだって、AppleやGoogleに対する信用に基づいて画像ファイルを預けています。

しかしここで大事なのは、一見、画像を「加工」するだけで、画像を「送信」している意識が発生しにくいPrismaについても、同じを考えて、変換ボタンを押す必要がある、ということなのです。

考えた上でアプリ「Prisma」の提供会社を信用するか、それこそ、どうでもいい画像しか変換しないようにするか。いろいろな選択肢があると思います。

ただいずれの判断をするにしても、この「判断の機会」を設けた上で、利用する・利用しないの判断をすること自体が何より大切で、一概に「危険だから使うのをやめるべき!」という話ではありません。

「考えるきっかけ」という点で、「サーバー側で処理していることを知る・気づく」というのは大切なポイントです。

※自分も、まさかサーバーサイドで実行しているとは、当初思いませんでした(かなり変換に待たされるのも、iPhoneのCPUをぶん回しているだけだと思っていました。通りでちょっと連続で利用してみても、本体が熱くならないわけだ)

比較:LINE Camera

ちなみに、同じく画像加工できるカメラアプリ「LINE Camera」では、アプリの説明に、次の通り書かれています。

※写真のアップロードは、SNSなどに共有をする時以外は行っておりません。 引用元

このあたり、LINE Cameraの開発は、気を使って書いているように感じます。

プライバシーポリシーを見てみる→404

さて、先ほどの規約では、使用許諾に基づくユーザーコンテンツの利用は、3章・4章を含む(ただしそこに限定されない)プライバシーポリシーに基づいて実施される、と書かれています。

そこで、利用規約に「Service's Privacy Policy, available here http://prisma-ai.com/privacy/」とあるのでこのURLにアクセスしてみたところ、このプライバシーポリシーページは 404 File not found でした(追記:この原因もInstagram利用規約の影響

prisma-terms-of-use-server-side-processing-privacy-policy-404

プライバシーポリシーを(見つけて)読んでみる

というわけで探してみると、プライバシーポリシーは、公式サイトのトップページからリンクされていました。

先ほどの利用規約に出てきた3章4章には、ユーザー情報の利用目的や利用法について書いてあり結構長いのですが、今回の文脈で強調しておくとすればここです。

Any information or content that you voluntarily stylize with the Service, such as User Content, becomes available to the Prisma anonymously. 引用元

これまた細かい部分を省略して訳せば「あなたが自発的に(voluntarily)変換した画像は、Prismaが利用可能になるよ」という話で、Prismaがサーバー側で処理していることを知らないと、え、なんで使えるの?いつ使えるようになった?と、これまた引っ掛かってしまう部分です。

第3章では、基本的に、ユーザー情報を関連会社(親会社なども含む)以外に売ったり、貸したりはしないよ、ということと、関連会社(Affiliates)においては、その関連会社の自身の別のサービスのために使うかも知れないけれど、あなたの画像を誰に見せるかという選択は守るつもりだよと書いてあります。

But these Affiliates will honor the choices you make about who can see your photos. 引用元

また、直接参照はされていなかった第2章に、具体的な用途の例がまとめて書いてあります(画像そのものが関係しそうなのは、問題発生時の診断/修正に使うとか、製品改善に使うとか、新機能開発に使うとか)

なので見たところ、突然、全画像大公開なサービスが現れたりすることはなさそうです。

開発者インタビューでは

TechCrunchでの開発者インタビューを発掘したのですが、そこでは次の通り答えています。

"We are not storing the [original] photos. We don’t know who sent photos, we don’t know the photo itself because it’s in a non-readable format for us. We only store for result for some time because if the network is very bad we want to reconnect and give the result to the phone," he says. TechCrunch

一応、オリジナルの画像は保存しておらず(non-readable format で保存してる?)、変換後の画像については、ネットワークの問題で、変換結果をiPhoneに送信できなかった場合の再送用に一定期間保持しているだけだ、としています。

これを最も良い方向に解釈してみれば、利用する権利は貰うけど、画像自体は手元に無いので、どこかに投稿されたときなんかに、使わせてもらうかもね、っていうことになるのですが、なんか利用規約の雰囲気と違った感じがします。正直謎です。

※この違和感の原因は、Prismaの利用規約が、Instagramの利用規約をもとにして書かれたものだから、でした。

Prismaを使う上で大切なこと

どちらにしても、「画像のデータはサーバー側で処理されていて、送受信されているんだ」という「認識」、これがPrismaユーザーにとって大切なこと、だと思います。

まとめ

今回は、Prismaの利用規約を読んでみました。

利用規約での、「画像を使うかもよ」的な内容は、SNSなどではよくあるパターンです。

しかし、今回最大のポイントは、Prismaは画像加工アプリで、画像を公開する機能*を持たないため、「まさか自分がiPhoneアプリで変換しただけの画像が、Prismaに送信されているなんて思ってなかった!」となりがちのはずであり、利用規約にこんなことが書かれるタイプのアプリとは認識しにくい、という点です(*Instagram・Facebookへの投稿ボタンおよび、共有ボタンはありますが、Prisma自体が投稿先となる機能はありません)

また、その認識がないために、利用に対する抵抗感が、その実態(画像は送信される)より低く抑えられている、という点を重視する必要があります(例えばもし、アプリではなくウェブサービスで、変換した画像をダウンロードして取得するタイプだったら、より「危険だ」と警戒する人が増えたはず。もしくは、変換した画像がPrisma側に保存されて後から参照できる機能があったりしたら)

ひとこと

利用規約は大事だけどなかなか読まれないし、重要なところとそうじゃないところがごっちゃまぜな長文だったりするので、重要だな、と思った部分については、今後も積極的に紹介していきたいと思います。

追記:Instagramの利用規約が元になっていた

Prismaの利用規約の文章が、Instagramの利用規約の文章を元にして作られていたことがわかりました(例えば、Instagram社の住所がPrismaの規約に入っちゃってる)。

詳細はこちらです:Prismaの利用規約とInstagramの利用規約を比較して分かること

その他の利用規約系記事

関連:Android版Prismaの偽物アプリに注意

Google Playストアに、Prismaの偽物アプリが多数出現しています。注意してください。

コメント(2)

  1. ななし
    2016年7月18日(月) 15:50

    つい先日このアプリをインストールしたばかりだったので、この記事を見かけてゾッとしました。
    まったく知らなかった…そもそも英語だから読もうとも思いませんでした。
    アプリの機能は魅力的で、今後も気をつけつつ使っていきたいと思うので、ここで知ることができてよかったです。各章に渡って内容をまとめた丁寧な解説ありがとうございます。

  2. nobody
    2016年7月19日(火) 20:56

    googleの規約が同じくらい凶悪なことを話題にした方がアクセス伸びるかと

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