HuluのSilverlight動作環境の記述とその背景について調査メモ（Amazon/Netflixにも）

huluのヘルプはここのところ頻繁に書き換えられており、本日も動作環境ページが更新されています。

現時点での最新版には、Silverlightについて次の記述があります。

Internet Explorer 11.0以降（Micrsoft Silverlight、Adobe Flash Playerのインストールが必要です。）
※Internet Explorer以外のブラウザは、Microsoft Silverlight、Adobe Flash Playerのインストールは必要ありません。 （引用元）

これを見ると、普通にInternet Explorerを使うなら、SilverlightとFlash Playerが必要、と読めます（ごく普通に）。

しかし実際のところ他のサービスと見比べると、絶対に必要というわけではなく、HTML5に非対応の環境のInternet Explorer 11でのみ、Fallback先としてSilverlight対応している、という意味なのではないかな、という気がしています。

実際、SilverlightをインストールしていないIneternet Explorer 11からでも、huluを再生することができました(Windows 10←後々重要になるポイント)。

なのでやはり、この「Silverlightが必須」な書き方は怪しいのではないかと思われました。誤解のもとかと。

調べてみると実は、huluからののりかえ先の代表例たるAmazon Prime Video（Amazonビデオ）の動作環境にも、Silverlightは登場しています。

対応ブラウザの話から順番に紹介すると、まず「推奨ブラウザ」として「Internet Explorer （バージョン11.0以降 )」、「対応ブラウザ」として「Internet Explorer (Windows 8.1以降のバージョン11.0以降)」、と書かれています（※推奨ブラウザより、対応ブラウザのほうが条件が厳しいのは変な気がするものの、Chromeは普通に推奨ブラウザ＝最新版、対応ブラウザ＝○○以降という緩いバージョン指定、となっています）。

つまり、IEについては、Internet Explorer 11のみが対応ブラウザですよ、ということなのですが、その上で、以下の記述があります。

ブラウザプラグイン
HTML5に対応していないInternet Explolerをご利用の場合には、場合、Amazonビデオをストリーミング再生する際に、Silverlightをインストールするか、最新バージョンにアップグレードする必要があります。 （引用元）

これはつまり、「HTML5に対応していないIE11」のことを指しており、「HTML5に対応していないInternet Explorer 11」ってどういうこと？あるの？ということが気になりました。

この疑問点については、Netflixの動作環境も紹介してから話題にします。

もう一つののりかえ先、Netflixでも、動作環境についてのページにSilverlightについてしっかりと書かれています。

NetflixのHTML5プレーヤーまたはSilverlightを使用すると、Windows XP以降のPCおよびOS X Tiger (v10.4.11) 以降のIntelベースのMacでNetflixの映画やドラマを視聴することができます。HTML5、Silverlight 4およびSilverlight 5の要件の一覧は以下の通りです。 （引用元）

こちらのページはかなりボリュームがあるのですが、ここでも第一のポイントは、まずSilverlightが提供されていることです。

そしてもう一つポイントなのは、基本HTML5での対応範囲が書かれており、そこから漏れるケースがSilverlightでカバーされている様子だった、という点です。

というのも、HTML5の対応ブラウザについて、気になる記述がありました。それがこちらです。

Windows 8.1以降のInternet Explorer 11以降 （引用元）

つまり、Windows 7のIE11は、HTML5の対応ブラウザに含まれていないのです。

ここまで読んで、Amazonの「HTML5に対応していないIE11」の正体（のひとつ）がもしかして「Windows 7のIE11」なのでは？、ということに気が付きました。

そこで調べてみると、「Windows 7 での IE11 (Windows)」という、開発者向けの詳細ページが見つかりました。そこには、「Windows 7 でサポートされない機能」として、いろいろな機能が紹介されています。

その中のひとつに「Encrypted Media Extensions」が紹介されていました。その機能の説明ページに飛んでみると、こう書かれています。

Internet Explorer 11 では、HTML5 の Encrypted Media Extensions (EME) のサポートが導入されています。 EME は video 要素と audio 要素を拡張し、プラグインを使うことなく、デジタル著作権管理 (DRM) で保護されたコンテンツを有効にします。 EME は、Windows 8.1 の Internet Explorer 11 および JavaScript を使っている Windows ストア アプリでサポートされます。
重要  この機能は、Windows 7 と Windows Phone 8.1 の IE11 ではサポートされていません。 （引用元）

Windows 7では「プラグインを使うことなく、デジタル著作権管理 (DRM) で保護されたコンテンツを有効にします」というEME機能が使えないため、Silverlightが必要なのではないか、と考えるととても納得がいきます。プラグイン無しでの再生ができない一方で、プラグインさえあれば再生できる、と。

もともと、冒頭で紹介した記事からたどれるページにあった、「Silverlight経由でHDCP非対応の環境でも再生できた」、というツイートにも「Win7」と書かれていました。

happyonに完全移行したhulu
hdmi(HDCP)必須かと思ったが、IE11+Silverlightなら、VGAでも視聴可なのを確認(win7)#hulu

— yoke4000 (@yoke4000) 2017年5月19日

だいぶつながってきましたし、納得感が高まります。

また、実際、Windows 10の環境では、SilverlightをインストールしたところでhuluにHDCP関連が原因と思しきエラーが出る状況に変化がなかったのですが、これについても、こういう構造（fallback先としてのSilverlight）であれば、納得がいきます。Windows 10なら、EMEが使えるので。

huluの書き方だと、「Internet Explorer 11で再生するにはSilverlightが絶対必要」と読めますが、おそらくそれは書き方が大ざっぱなだけで、本当のところは、「Silverlightなしで再生できない環境では、Silverlightを使うことで再生できる場合があります」くらいなのではないかと考えられそうです（正確な所はhuluのヘルプアップデートを待ちたい）。

そして、huluからの移行先として有力なAmazon Prime VideoやNetflixの動作環境にも、Silverlightがしっかり掲載されている点（書き方が違うので、huluの書き方がよくない）が確認できました。

また、いずれもSilverlightは必須のプラグインではなく、一部の環境ではSilverlightを使えば再生できるよ、という、HTML5を用いた再生で問題が発生する環境でのfallback先としての役割を担っていることが分かりました。

huluの動作環境は、もっと詳細に、OSバージョンとブラウザバージョンをペアにして書いて、その条件などもいろいろと書いて欲しいと思います。きっとhuluとしても、このまま誤解（のはず。少なくともSilverlightなしで再生できたので）が広まるのは避けたいはずですし。。。

• パソコンの推奨環境について | Huluカスタマーサポート - Hulu Helpcenter
• Amazon.co.jp ヘルプ: コンピューターでのストリーミング再生
• HTML5プレーヤーおよびSilverlight向けのNetflixシステム要件

• Windows 7 での IE11 (Windows)
• 動画 (Windows)