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最近気がついた、自分の発表や発表スライドを分析する方法についてメモしておきます。自分の発表・発表スライドの弱点が見えてくると思います。
注意:実は「あとがき」が大切だったりします。
目次
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分析方法
タイトルの通り、「6ヶ月以上前の発表に使ったスライドを読む」だけです。
最近のスライドを見ても、「見慣れたスライド」「知ってるスライド」にしか見えません。
しかし、(6ヶ月は目安に過ぎないのですが、)これくらい経つと、発表当時は当然理解していたことが抜け落ちており、発表者という発表内容を理解している立場から、聴衆という発表内容を知らない人の立場に近づくことができる気がします。
あまりぱっぱと飛ばさずに、ゆっくり読むのがポイントです。
いろいろなものが頭から抜け落ちている
「発表内容」と書きましたが、具体的には、次のようなことが記憶から抜け落ち始めていると実感できました。
- 発表時のセリフを思い出せない
- スライドの図が意味する・指示する内容を思い出せない
- どんなストーリーで進むのかを思い出せない
- 次のスライドで何が表れるのかを思い出せない
- 一つ一つの文で伝えたかったことを思い出せない
完全に抜け落ちているわけでないにしろ、自分のスライドなのになかなか頭に入りにくい不思議な状況になりました。
わかりにくいどころか「はぁ?なにを言ってるんだお前は?」と思うような部分もありました。これも一つの分析の成果で、文章があいまい・漠然としていて、ズバリ伝えたい内容を指し示せていないからこうなってしまっているんだろうな、と反省。
もちろん抜け落ちない部分もある
その一方で、あまりに何度も説明している部分は、あまり抜け落ちていませんでした。なので、毎回毎回同じスライドで発表していたり同じ内容での発表ばかりしていると、効果が薄いかもしれません。できるだけ最近の発表と違うものをチョイスすると良いかもしれません。
結局何が分析できたか
私はこの作業を、メインの研究成果を発表した「IEEE P2P」、普段の外部発表とは違う内容を話した「修論発表」、並行して研究していた内容を発表した「DPS研究会」での発表スライドなどで試してみました。
文が分かりにくい
先ほども述べたように「何を示しているのかを把握するのに時間がかかる文が存在する」という弱点に気がつくことができました。
感覚的に言えば、文章が平坦で、強弱が弱いのです。つまり、たとえ短い文章でも、ただ短いだけでは素早く理解することはできず、より伝えたいことを明確にし、手を抜かずに適宜語句を強調すべきだと分かりました。
ここについてはほんといろいろ考えさせられました。セリフとスライドの使い分けとかも再考できました。
ただ、これだけで不足している不足していると考えてしまうと、セリフの配分を忘れがちになるので注意してください。セリフというか解説してくれる人が居れば、そもそも分かりやすいはずです。実際には、SlideShareにアップロードされているスライドを他人が読んだら、のほうに近いことをしています。
スライドの切り替わりが突然
「スライドの切り替わりが急」と感じるところが多かったです。もちろん普段は言葉で誘導しているのですが、より慎重に、とても丁寧にスライドの切り替わりを聴衆に気づかせなければならないと分かりました。
また、話の流れを思い出してもらうために一度見せたスライドをもう一度見せる場面では、スライドをそのままコピーするのではなく、スライドの中にスライドを配置して、過去のスライドからの引用だよというのを理解しやすくする工夫を欠かさないようにするべきだと思いました(手間がかかるので普段は一部でしか行っていませんでした)。
これで思い出したのが、ついこの前情報科学若手の会で@kumagiに言われた、「聞き逃した人用に振り返った方が良いんじゃないか」という言葉です。自分としてはかなりこまめに、しっかりと話の進み具合を確認するスライドを挟んで発表しているつもりだったのですが、工夫が足りていなかったようです。もっと分かりやすくできる工夫を探してみたいと思いました。
一つのスライドで提示される情報が多い
自分の発表では一つのスライド切り替えで同時に提示する情報をできるだけ絞るようにしているのですが、それでもまだもっと絞った方がよいということに気がつきました。
これまた手間がかかるので、これくらいは大丈夫だろうと考えていた部分があったのですが、もっと突き詰めて考えるべきだと思いました。
その他
他にも気がついたことはたくさんあるのですが、自分の気がついたことをこの記事で伝えたいわけではなく、例示したいだけなので、このあたりにしておきます。
ただ一つ言っておきたいことは、自分の発表の良いところも確認できたということです。
もちろんそこから分かることは人それぞれ
スライドは人によって違うので、そこから見えてくるものや、この作業で見えやすいもの、見えにくいものは人それぞれだと思います。
しかし、自分のスライドを分かりにくく感じることができるというのは、どんな発表・スライド(およびそれを書いた自分)を分析するにも役に立ちそうだ、と感じました。とにかく不思議な感じです。
是非お試しあれ
発表資料を作成して発表を日常的に行っている人には是非試してもらいたいと思います。
この自分のスライドなのに分かりにくいという感覚の中で、即興でセリフを思い浮かべながら説明してみるなり、完全に読者として読み込んで見るなりしてみると何か発見が得られるかもしれません。
私の発表形式が考えに考えた結果とても極端なものになっているので、ここで挙げた分析例は私にしか当てはまらないことかもしれませんが^^;
あとがき
よくよく考えると、このようにして客観的に見られるような環境を作ることよりも、発表を改良する際の着目点や守るべき原則を意識しながらスライドを見る能力や訓練のほうが大事な気がしてきました。それがないとどうにもなりません。
また、このような「よく分からない感覚」を自分で体感するのはよいと思いますが、やはり「よく分からない感覚」の本物を知る研究室外の人に発表を見てもらうのがやはりいいんだろうな、という再認識にもなりました(本文中@kumagiの件参照)。実はこれが一番重要な成果だったかもしれません。
学会でいつも発表内容よりも発表方法のアドバイスをしたくなるのですが、自分もしてほしいので、機会があったらしてみたいです。一昨年のSACSISで@_b_gさんに「回りくどかった」と言われたのがきっかけになって、「どうして回りくどくなるのか」を考え、回りくどさを改善するために必要な視点を見つけることができましたから。
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