PCI Expressのビデオカード３枚差しで１枚認識されなかった理由についてメモ

今回、マザーボード（チップセット）が重要だったので、それについてまず紹介します。

利用していたマザーボードはASUS P5K-Eで、チップセットの構成はP35+ICH9Rです。このICH9Rには、PCI Expressの最大レーン数が16という制限があります。

また、P5K-E自体には、PCI Expressスロットが４つあり、

• 青い差し込み口の「プライマリ PCI Express x16スロット（最大x16レーン動作）」が１カ所
• 黒い差し込み口の「Universal PCI Express x16スロット（最大x4レーン動作）」が１カ所
• 白い差し込み口の「PCI Express x1スロット」が２カ所

という構成です。

今までは、

• プライマリ PCI Express x16スロット：Sapphire Radeon HD 3650 512MB GDDR3 PCIE（@ PCI Express x16）
• Universal PCI Express x16スロット：Sapphire Radeon HD 3650 512MB GDDR3 PCIE（@ PCI Express x16） （プライマリと同じカード）
• PCI Express x1スロット：HIS HD 4350 iFan Native HDMI 512MB (64bit) DDR2 PCIe 1x (H435F512EP）
• pCI Express x1スロット：（なし）

という構成でグラフィックボード３枚差しをして、モニタ５枚環境を構築していました。

この構成に「Radeon HD7750 1GB PCI-E RH7750-E1GHD/A」２枚を追加購入し、HD3650x2と交換しました（Radeon HD 4000シリーズ と共存するために適切なバージョンのドライバを選択することが必須）。

つまり、次のような構成になりました。

• プライマリ PCI Express x16スロット：Radeon HD7750 1GB PCI-E RH7750-E1GHD/A
• Universal PCI Express x16スロット：Radeon HD7750 1GB PCI-E RH7750-E1GHD/A （プライマリと同じカード）
• PCI Express x1スロット：HIS HD 4350 iFan Native HDMI 512MB (64bit) DDR2 PCIe 1x (H435F512EP）
• pCI Express x1スロット：（なし）

このとき、Universal PCI Express x16スロットのHD7750が全く認識されませんでした

ここで言う「全く認識されない」とは、「デバイスマネージャに表示すらされない」という状態です。

ここで、たとえばUniversal PCI Express x16スロットのHD7750を抜いたり、もしくはPCI Express x1のHD4350を抜いたりすれば、「２枚として」ちゃんと動作しました。つまり、「Universal PCI Express x16スロット」という位置がさっぱり認識されないわけではなく、この組合せでの３枚差し時にのみ認識されない、ということがわかりました。

また、今まで３枚差しをしていたことから、３枚差し自体が不可能、というわけではなく、HD7750を２枚含んだ３枚差しがダメ、ということになります。

Universal PCI Express x16スロットのHD7750をHD3650に戻した３枚構成ではどうなのか試してみると、これならうまく３枚差しが動作しました。

他にもいろいろな組合せをやってみた結果、「HD7750のビデオカードがx2レーン動作できないのが原因ではないか」という結論になりました。

x4レーン動作はできている

HD7750を２枚差しするとき、Universalスロットは最大x4レーン動作なので、HD7750は、x4レーンで動作していることになります。しかし、HD7750x2+HD4350の３枚差し時には、x1スロットを動作させるために、Universalスロットはx2レーン動作になってしまいます。これが原因なのではないか、というわけです。

P5K-Eのユーザーマニュアルのp.2-21には、こう書かれています。

Universal PCI-E スロットがサポートしているスピードは最大 2GB/sです。このスロットの動作周波数は取り付けるPCI Expressカードにより変化します。詳細は下の表をご参照ください。

[Universal PCI Express スロットの設定オプション]→[PCI Express 動作速度]
[Auto]→[取り付けたデバイスに応じ、パフォーマンスと機能性を最適化]
[x4モード(fast）]→[パフォーマンスは最大になるが、PCI Express x1スロットは両方とも無効]
[x2モード(compatible）]→[常にPCI Express x2で動作]

「Universal PCI Express スロットの設定オプション」が「[Auto]になっていて、内部的に[x4モード]」、もしくは「固定で[x4モード]」になっていた場合、３枚差しに失敗するなら、認識されないのはx1スロットのビデオカードのほうなので、変です。

そういうわけで、内部的に[x2モード（compatible）」になっているはずで、それなら、HD7750ビデオカードがx2レーン動作できないのが原因である可能性が高い、と結論づけました。

HD3650のビデオカードがx2レーン動作して、HD7750のビデオカードがx2レーン動作できなかった、と考えると、状況が上手く説明できます（レーン数が不足・割り当て無しだと、デバイスマネージャにすら登場できない、というのともうまく一致）。

これについて、ユーザーマニュアルにも、こんな注意書きがあります。

• 特定の PCI Express ビデオカードは、 x4/x2 モードでは動作しません。それらのカードを使用する場合は、システムの安定のためプライマリ PCI Expressスロット（ブルー）に取り付けることをお勧めします。
• 特定の PCI Express デバイスは、 x4/x2 モードでは動作しません。

ところで、「[Auto]だったら」なんていう話を書きましたが、そんなの「BIOS設定」を見ればわかるでしょ？と思うかもしれません。私もそう思います。しかし、なぜかP5K-EのBIOS設定に、そんな設定項目が存在しないのです。「ASUSTeK Computer Inc.-Forum- Universal PCI Express slot options」は、唯一見つけられたこの設定項目に言及しているページですが、ここでもBIOSを最新版にしても結局そんな設定項目はなかった、というのが結論になっています（このフォーラムの投稿時点より後にBIOSアップデートはありませんでした）。

結局現在は、とりあえずHD7750+HD3650+HD4350の３枚差しで５モニタ環境を使っています。