スポンサーリンク
高解像度モニタ8枚を1台のWindows PCから表示する環境を構築したいと思ったので、グラボを選ぶことにしたのですが、思いの外、難航してしまったのでメモしておきます。
スポンサーリンク
前提
前提条件はこちらです。
今まで
今までは、2560x1600 30inch 4枚環境や、混在のペンタモニタ(6枚)まで組んだことがあります。ただ、6枚だと普通にしか使えなくて応用が利かない感じなので、+2枚にしたくなった次第です。
また、IvyBridge-E用にLGA2011のマザボを近々新調するつもりです。
重要:NVIDIAで選びたい
今までAMD(ATI)のグラフィックボードを使っていたのですが、ドライバが不安定で自作PCの問題のほとんどがグラボ由来であったため、NVIDIAにしてみよう、ということにしました。
NVIDIAの場合、マルチモニタ向けのNVSシリーズが有力な候補です。とはいえ、そうである必要があるわけでもなく、搭載グラフィックボードがかなり限定されるので、特にこだわらずに考えてみます。Quadroは今回の用途にはちょっと合わないので、NVSかGeForceとなります。Quadroは高いだけになりかねません。
重要:Display PortとDVIで構成(DPx4-8)
まず、アナログ端子(D-Sub 15pin)などを使うつもりは一切なく(論外)、Dispalay Port or DVIで接続します。
そして、モニタにはDVI(-I)では対応できない2560x1440モニタ(27inch)や2560x1600モニタ(30inch)を含むので、この高解像度用にDisplay Port(DP)を使います。ただし、DPのないモニタ資産も使いたいので、DVIも2-4欲しいと思っています。
検索は価格.comで
値段が見られるし在庫が存在するかも分かって、それなりに詳細な検索ができる価格.comを頼りにグラボを探します。価格.comに無いグラボは存在しない扱いにします。
ゲームをするわけではないので性能は低めでOK
ゲームをするわけではないので、チップの性能は特に高い必要はありません。高解像度だからメモリが必要かと思われますが、以外とそこまで必要なく、2560x1600の30インチモニタ4枚を1枚のグラボ2GBメモリで使っていたりして、イメージとしては30インチモニタでも1枚当たり512MBまで最低ラインを下げられます。また、GPU用のメモリが大きすぎるのもよくなかった気がするので、結果そんなにメモリは気にしません。
補助電源はなしが良い
また、4枚搭載することも考えると、極力補助電源が必要がないグラボを選びたいところです。補助電源が必要なグラボx4は消費電力がちょっと…な感じです。
値段は重要
最悪グラボ4枚なので、1枚2万されると8万です。AMDの感覚だと、今回の条件なら、「欲しい端子がある」低スペック(端子を選ぶと「低スペック」が変わる)でいいので、1枚5千円から8千円で十分なので、4枚でも2,3万かな、というイメージなのですが、NVIDIAは果たして…
マザボの制限も重要
8面出力ともなると、グラボ選びも気を付ける必要があります。そして、自分の場合はメモリを最低32GB載せたいと思っているので、さらに選択肢は減り、SandyBridge-E(LGA2011)あたりから選ぶことになります。
DisplayPort -> DVI は一応変換可能だけど
DisplayPortからDVIへの変換は可能ですが(グラボによっては非対応の可能性あり)、変換ケーブルはそこそこ高く(DPケーブルも高いけど)、また変換結果が非常に不安です。というのも、DisplayPort単体がそもそも不安定で、要求されるケーブル品質がシビアだったりするからです。DVIに変換してしまえば、要求されるケーブルの品質などもDVI基準になるとは思うのですが、DVIでもケーブルトラブルを経験しているので、あまり変換は気が進みません。
というわけで、DisplayPort -> DVI変換は、あまり頼りにしないようにします。ただ、可能であることを忘れないようにしておきます。現状DVIでも将来的にDisplayPortにしたいので、その場しのぎに有効ですから。
構成の可能性
8面モニタとなると、グラボの構成はかなり自由度が高いです。
グラボ1枚のみは…
世の中(価格.com)には、1枚のグラボからDisplayPort8面出力できるグラボは・・・ないみたいです。最大でも6枚。
しかし、DPx6あるのもAMD製チップのみで、NVIDIA製チップを使ったグラボはありませんでした。うーん。
ちなみに、DPx6のRADEON HD7870グラボは、30,985円とそこそこ安価です。
また、DPx4+DVIx4のグラボは存在しませんでした。
グラボ2枚方式
NVIDIA NVSシリーズには、DisplayPortを4つ搭載したグラフィックボードがあります。そんなNVIDIAで唯一のカードが「ELSA NVIDIA NVS 510 [PCIExp 2GB]」です。
端子はmini DisplayPortx4なのですが、変換ケーブルが付属するため、DisplayPortx4もしくはDVIx4に簡単に変更することができます(DPx3、DVIx1のような混在も可能)。
これ、かなり良さそうなのですが、値段は約4.4万円なので、2枚購入すると約8.8万円です。高い。
汎用性を高めるためか、ロープロファイル対応で、NVS 510 + 2GB DDR3 SDRAM 128bit + PCI Express 2.0 x16となっています。そして、実は4K解像度(4K UHDTV 3840x2160)にも対応しています。
AMDなら…
ここで「さすがNVIDIA」と思うかもしれませんが、AMDでDisplayPortx4の製品を検索すると、在庫があるものだけで11製品も出てきます。NVIDIAはここで紹介したNVS 510「だけ」です。そして、これも2012年末に発売されたので、それまではNVIDIAにDisplayPortx4のビデオカードが無かったわけです。
ただ、たくさんあるのですが、安価なものでも5万円以上するので、今回の目的でのDisplayPortx4では、NVIDIAに軍配が上がります。
グラボ4枚方式
同じグラボを4枚使う、というのは、手軽で安価です(少なくともAMDでは)。
DPx2またはDPx1+DVIx1の安価なグラボを4枚揃えればよいわけです。
ただ、グラボはPCI Express x16 (3.0 or 2.0)になるので、これが4枚となると、マザーボードの制限が若干厳しくはなります。x16の長さのあるカードを4枚装着可能なマザーボードも合わせて探さないと行けませんが、例えば今自分が使っているSandyBridge-Eのマザーボード、特にATXではなくExtendedサイズならそれなりにあるので問題ありません。もちろん、ちょっと売れ筋から外れます。
また、4枚挿すわけで、できればスロット厚は1枚分がいいです。
もし2スロット使用するとなると、全8スロットをきれいに消費し、PCI Expressが1スロットおきになっている必要があるので、マザーボードをより慎重に選ばなければなりません。例えばHaswell(LGA1150)なら、ASUSのMAXIMUS VI EXTREMEのような感じです。
LGA2011なら、Rampage IV Formulaなんかがあります。こちらは3.4万円くらい。
あとは、同じくLGA2011なら、Rampage IV Extremeもあります。こちらは4.1万円くらいですが、ATXではなくExtendedサイズです。
DisplayPort x 2を探す
さて、じゃぁそのグラボってどれだよ、と探してみます。
とりあえず、DPx2のNVIDIAで探してみると、最も安価なものとして、1.7万円程度の「ELSA NVIDIA NVS 310 [PCIExp 512MB]」が出てきます。補助電源は不要です。
無駄にロープロファイルに対応したモデルであまり好きになれないのですが、カード厚は1スロット分なので悪くありません。チップがNVIDIA NVS 310(カード名と同じ)で、安価なマルチモニタ構築に適したチップです。ただ、一番安価(安っぽい)なこのモデルですら1.7万円、というのはなかなかな値段です。4枚なので、x4して総額7万円弱です。
AMDなら…
同じ条件をAMDで探せば、1万円を切る「GIGABYTE GV-R7770C-1GD REV2.0/A [PCIExp 1GB]」が見つかります。4枚買っても4万円を切ります。差額3万円。搭載チップはRADEON HD 7770です。補助電源は不要です。
しかも値段の差だけではなく、こちらはメモリがGDDR5の1024MB(あっちはSDDR3 512MB)であり、PCI Expressも3.0(あっちは2.0)、一応HDCPにも対応(あっちは非対応)しているという違いっぷりです。
値段差とスペック差を考えると、AMD側のほうが遙かにお得感があります。ただ、NVIDIA側には、用途と一致しているNVSブランドの魅力があります。ただ、同じNVSブランドなら、さらに高くなるものの、DisplayPortを4つ搭載したNVS 510のほうがいい気もします。
DisplayPort x 1 + DVI x 1 を探す
次に、気を取り直してDPx1+DVIx1(正確には、それぞれ1以上)で探してみます。
安価なものだと、「LEADTEK WinFast GT640 2GB [PCIExp 2GB]」が10,799円でした。SDDR3で、D-SUBx1+DVIx1+HDMIx1+DisplayPortx1という構成で、GeForce GT 640を搭載しています。
AMDなら…
NVIDIAに、この条件でこれより安いモデルがないことに驚きます。AMDなら、1万円以下のモデルがたくさん見つかります。
NVIDIA側で次に安いものは、「NVIDIA Quadro 410 NVQ410-P [PCIExp 512MB]」が12,815円でした。
このあたりは、必ずD-Sub端子を搭載しているので、なんだか勿体ない気分になります。
DisplayPort x 1 + DVI x 2 は?
1.5万円くらいになると、D-Subの代わりにDVIが追加された組合せ(DVIx2+DPx1+HDMIx1)になるのですが、DVIx1+DPx2とは違い、3枚にしたところでDVIx6+DPx3になってしまい、DisplayPortが不足してしまって微妙です。結局4枚必要なら、あえて狙うのもなぁ、といった感じ。
DisplayPort x 2 + DVI x 1 は?
増えるのがDPで、DisplayPort x 2 + DVI x 1ならいいのですが、これをNVIDIA縛りで探すと、かなり悲惨です。
最も安い「ELSA NVIDIA Quadro 2000 [PCIExp 1GB]」でも、39,800円します。
これを3枚揃えると、一気に総額12万円弱に到達してしまいます。もちろんQuadro 2000になって、メモリもGDDR5で、HDCP対応にもなり、NVSシリーズに比べてもとても魅力的な性能ですが、そこまで必要ないはずなのです。
AMDなら…
これがもしAMDなら、DisplayPortx2 + DVIx1がたったの9,980円で入手できます(GIGABYTE GV-R777OC-1GD REV2.0/A [PCIExp 1GB])。
NVIDIAに比べたら4分の1の価格です。先ほどのNVIDIAのものはPCI Express 2.0で2010年発売という古いものなのですが、こちらのAMDのものはPCI Express 3.0の2013年3月発売のモデルで、RADEON HD 7770、GDDR5 1024MB、HDCP対応となっています。
また、これ1つだけでなく、AMDならDisplayPortx2+DVIx1の安価なグラボが他にもいろいろあります。
こうして比べてみると、NVIDIAの選択肢の少なさと、割高さを感じてしまいます(自分の用途の場合)。どちらにせよ、DPx2+DVIx1のグラボx3の構成は金額的に買う気が起こらないのでパスです。
DisplayPortx4のグラボ2枚がよさそう
というわけで、手広くいろいろ製品を調べてみた結果、NVIDIAは割高で選択肢が少ないということをまず感じました。もちろん今回のマルチモニタ用途で、AMDと比べて、ということですが。
ただ、NVSだけはNVIDIAがマルチモニタ向けに作っているだけあり信頼できそうです。そして、そのNVSシリーズのNVIDIA NVS 510が今回調べた範囲ではなかなか無難そうでした。
これを2枚買って、8画面出力が可能になります(ちなみに8画面の4K解像度出力が可能です、絶対4Kモニタに手が出ないけど)。
型番の違うグラボを混在させないので、混在環境で発生するディスプレイドライバの問題も起こりにくいと思われます。また、グラボ4枚環境はやはり危険な不安定の香りが漂うので、2枚だと安心です。
また、次のような動作例についての記述もあるため、さらに安心です。
2枚のNVIDIA NVS 510を使用することにより、8画面の出力を行い、さらにそれを1 画面の広大なデスクトップ領域として扱うことも可能です。 (引用元)
このグラボに搭載されているのはmini DisplayPortなのですが、DisplayPortに変換する変換ケーブルが付属しています。また、DVIに変換するケーブルも付属しているので、ある程度安心してDPx8を好きな数だけDVIに変換できます。この点も、これを選ぶ大きな理由です(※DVI変換後の最大解像度は1920x1200)。
若干性能は古くさいのですが、安定を求めているので、それも悪くないかな、と思っています(実は新製品で2012年の年末発売)。
- PCI Express x16
- DDR3 2048 MB 128-bit 28.5 GB/s
- ロープロファイル対応
- ミニディスプレイポートx4
- miniDP→DP変換ケーブル4つ、
miniDP→DVI変換ケーブル4つ付属 - 最大解像度3840xx2160(4K)
- OpenGL 4.3
- DirectX 11.1
- 消費電力35W(ファン有り)
- DisplayPort 1.2対応
さて、1枚4.4万円で、2枚買うと8.8万円…ですか…AMDなら安価なグラボ4枚で3万円台くらいで作れそうなのに…
そういえば
今回しっかり触れていませんが、差し込み口が複数あるとき、全てを同時利用できるとは限りません。同時利用の制限や解像度の制限があることがあります。これについては、購入前に公式ページのスペック表でしっかりと確認してください。要注意ポイントです。
参考資料
- Quadro NVSのスペック表
- NVSの英語ページ(NVIDIA公式)。日本語版は翻訳が変な部分があるので。
おまけ
8面ディスプレイの正しい言い方がよく分からない。
- シングルモニタ・シングルディスプレイ
- デュアルモニタ・デュアルディスプレイ
- トリプルモニタ・トリプルディスプレイ
- クアッドモニタ・クアッドディスプレイ
- ペンタモニタ・ペンタディスプレイ
- ヘキサモニタ・ヘキサディスプレイ
- ヘプタモニタ・ヘプタディスプレイ
まではいいとして、8枚の場合は
- オクタモニタ・オクタディスプレイ
- オクタルモニタ・オクタルディスプレイ
- オクトモニタ・オクトディスプレイ
の3つの説がありそうで。。。
スポンサーリンク
2015年12月22日(火) 22:33
>1枚のグラボからDisplayPort8面出力できるグラボは・・・ないみたいです
についてですが、つい最近、1枚で8画面出力が可能な「NIVIDIA NVS 810」が出た模様ですよ