情報科学屋さんを目指す人のメモ

方法・手順・解説を書き残すブログ。私と同じことを繰り返さずに済むように。

【LaTeX】dvipdfmxでdviからpdfへの変換に失敗する問題について

LaTeX (24)

現在、dvipdfmxを実行してpdfが生成できない・エラーになる問題が発生しているようです。なぜウェブサービスでもないのに「現在」なのかというと、現在、インストールに利用されるW32TeXのミラーサーバー上で一部のファイルが不足していることが原因になっていて、最近インストールした場合(7月1日以降*)に、インストールが不完全になっているからです。これについて、原因と対策を紹介します(現在twitter上をdvipdfmxで検索してみると、それらしき症状で困っている人がたくさん見つかります)

*7月1日以降:7月1日のアーカイブにはweb2c-libが存在していて、その次の7月6日のアーカイブから欠落しているので、より正確にはその空白期間の"どこか"以降

症状

よくpdfへの変換に利用されるdvipdfmxを用いて、dviを「dvipdfmx *.dvi」のように変換しようとしたとき、次のような特徴のある問題が発生します。

  • PDFが作成されない
  • .dviなどのが消えてしまう(.dviなど:.texから.pdfを作るまでに作成された中間ファイルたち)
  • dvipdfmx実行時に「** ERROR ** Could not find encoding file "H".」「Output file removed.」「Unable to find TFM file “cmr10″.」などのエラーが出る
  • その他、dvipdfmx実行時に、ファイルが見つからない系のエラーが出る(特に、フォント周辺がないと言われる)

原因

今のところ、これらのエラーの原因となっているのは、よく「LaTeX本体」として利用される「W32TeX」が配布されているミラーサーバーたちから、web2c-lib.tar.xzが削除されているからではないかと予想しています。

W32TeX公式ページには、複数のミラーサーバー(HTTP/FTP)が紹介されていますが、いずれも web2c-lib.tar.xz が不足しています

原因のチェック方法

これが原因かどうかのチェック方法を紹介します。もし、ダウンロードしたアーカイブが残っている場合は、 web2c-lib.tar.xzが存在するか確認してください。また、web2c-lib.tar.xzの中身からインストールされる「share\texmf-dist\fonts\cmap\adobemapping」というフォルダが存在するかを確認してみてください。

対策

というわけで、過去バージョンをインストールするのがおすすめです。

過去バージョンと言っても、W32TeXの公式ページで紹介されているミラーサーバーたちは、基本的に最新版しか置かれていません

そこで探してみると、過去バージョンが、 http://eplang.jp/w32tex/archive/ にアーカイブされているようでした。

というわけで、ここからW32TeX一式をダウンロードして再インストールするか、 web2c-lib.tar.xz のみをダウンロードして再インストールするというのが対策になります(*一式ダウンロードではエラーが回避できることを確認しましたが、web2c-lib.tar.xzのみでエラーが解決されるかは試していません)

※web2c-lib.tar.xz のみのダウンロードを試す人向けにURLを載せておくと、 2014年7月1日のバージョンの場合 http://eplang.jp/w32tex/archive/2014/07/01/current/web2c-lib.tar.xz となります。

コメント(3)

  1. kt128
    2014年7月13日(日) 00:29

    07/01版で再インストールして、web2c-lib.tar.xzのインストールに成功しても、『** ERROR ** Could not find encoding file “H”.』のエラーが起きていたのですが、解決したので解決法を書いておきます。

    [解決法]
    /share/texmf-dist/web2c/texmf.cnfを以下のように書き換えることで正常にPDFへと変換できるようになりました。
    (修正前)
    CMAPFONTS = .;$TEXMF/fonts/cmap//;c:/usr/Resource/CMap//
    (修正後)
    CMAPFONTS = .;$TEXMF/fonts/cmap//;c:/usr/Resource/CMap//C:/w32tex/share/texmf-dist/fonts/cmap/adobemapping//

  2. yypoppo
    2014年9月21日(日) 02:55

    参考になります。ありがとうございます。

    abtexinst_0_84r6 のインストーラでdownload先をこの記事のものに置き換えてインストールした際、dviからpdfに変換できない問題が発生したので、整理しておきます。
    ・環境
     OS: Windows8 64bit
    ・原因
     dvipdfmが利用できないことが原因。その原因はdvipdfm-w32.tar.xzが解凍されておらず、PATHが通っているw32tex\binの下にdvipdfmがないこと(bin64の下にはdvipdfm-w64.tar.xzの展開結果と思われるファイルがある)。
    ・対処
     上記のものを解凍し、win32tex\bin, win32tex\share配下に配置する

  3. torahugu
    2015年12月18日(金) 15:17

    dvipdfmx hoge.dvi

    を実行すると

    draft-151217.dvi -> draft-151217.pdf
    [1
    dvipdfmx:fatal: Unable to find TFM file “goth10”.
    Output file removed.

    とエラーが出ました。
    tex->dviの変換の方は正しく実行されており, dviファイルも閲覧できるのですが, dvi->pdfの変換のみ上手くいきません。
    一応pdfファイルは生成されているようですが, もちろん閲覧もできませんし, pdfファイルを削除しようとすると,
    「dvipdfmx.exeによってファイルは開かれているため, 操作を完了できません」
    というエラーメッセージも出ます。

    ご助言を賜れればと思います。
    宜しくお願いします。

新しいコメントを投稿




  • カテゴリー
  • 著者紹介

    ブログが趣味で、スマホアプリの利用中に発生するトラブルや不具合の対策手順や障害情報、 設定の変更方法などについて、解説記事をよく書いています。

    自分が困ったことをブログに書けば、次に困る人の参考になって、みんながみんな同じ苦労をせずに済む、というのが原点です。

    最近の関心は、スマホやパソコンが苦手な人の行動や思考、そしてそんな人を手助けする方法です。

    Amazonのアソシエイトとして、did2は適格販売により収入を得ています。

    RSS | Facebook | Twitter | About