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数日前より、「7月5日水曜日10時15分ごろに緊急地震速報の訓練があるから、学校に携帯(iPhone・Androidスマホ)を持って行っている人は、携帯が鳴ってしまうから電源を切った方が良い。テスト中に鳴ったら大変」という噂と、それとは真逆の「鳴るのは訓練の実施を計画している機関や団体だけ」「専用の訓練アプリを入れていなければ鳴らない」という反論との両方が、それぞれ話題となっています。
この噂について、気象庁の発表資料を読んで見たときに分かったことを共有しておきます。思ったよりややこしい記載内容でした。
目次
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噂の元になっている気象庁のページ
気象庁のホームページに、「7月5日に緊急地震速報の訓練を実施します」という報道発表ページが設けられており,これが噂の元となっています。
この通り、確かに噂の通り、7月5日水曜日の午前10時15分ごろ、緊急地震速報の訓練が行われるようです。
反論
ただし問題は、その訓練の内容です。
噂に対する反論は、同じページにある次の記述を引用しての、「実際に緊急地震速報がなるわけではない」というものです。
なお、気象庁は訓練の実施を計画している機関や団体等に対して訓練用の緊急地震速報を配信しますが、基本的に、テレビやラジオ、携帯電話(緊急速報メール/エリアメール)で訓練用の緊急地震速報が放送又は報知されることはありません。 (引用元)
つまり、「訓練の実施を計画している機関や団体等でなければ、緊急地震速報で携帯電話が鳴ることは基本的にない」という話になります。
また、「3.訓練への参加方法」には次の通り記載されており、「専用の訓練アプリを入れなければ鳴らない」と言われている場合もあります。
(2)今回の訓練用の緊急地震速報は、民間の配信事業者経由の受信端末からは報知されませんが、受信端末自体の訓練用の報知機能や、気象庁ホームページにある訓練用動画を利用して訓練を行うことができますので、この機会にお試しください。
(3)スマートフォンの訓練用アプリを用いて、緊急地震速報(緊急速報メール/エリアメール)専用ブザー音による報知による訓練を行うこともできますので、この機会にお試しください。 (引用元)
さらに細かく読むと
ここまでが、大きな話題となっている「噂」と「噂がデマであるとする反論」の主な内容です。
ただ、気になってより細かく読んでみると、「団体等」や、特に「基本的に」という部分がどうも気になりました。
というのも、「2.参加機関」の部分に、次の通り、「地方公共団体」が含まれているからです。つまり、「地方公共団体」とは、「都道府県」や「市区町村」などを含むため、参加団体に対して配信する、というのは、参加する都道府県市区町村に配信すると読み取れるからです。
PDFファイルを確認する
ここまで読んでいる話題の「報道発表ページ」ですが、実はここまではあくまで「概要」であり、本当の発表本文は、添付されているPDFファイル(7月5日に緊急地震速報の訓練を実施します [PDF形式:71KB])です。
「一部市区町村において」
そこで、そのPDFファイルをダウンロードして内容を読んでみると、概要を読んで気になっていた「基本的に」の部分が、「テレビ・ラジオ」についてと、「携帯電話の緊急速報メール」について2パターンに分けて記載されており、後者について以下の通り記述されていました。
(2)携帯電話の緊急速報メールにより訓練用の緊急地震速報が報知されることはありません。ただし、一部の市区町村においては、携帯電話の緊急速報メールにより訓練用の避難準備情報等が配信されたり、「登録制メール」で訓練用の緊急地震速報が配信されたりする場合があります。
この通り、「一部市区町村においては、緊急速報メールが配信される場合がある」という記述があります。
細かい表現が気になるものの、この記述によって、緊急地震速報で携帯が鳴る可能性はないとは言いにくくなりました。つまり、気を付けるに越したことはないという状態です。
対象市区町村
とはいえ、あくまで「一部市区町村」なので、その対象外であれば関係ないだろう、と思いつつPDFをよく確認すると、PDFの最後に「7月5日に実施する緊急地震速報訓練に参加予定の地方公共団体」というページが設けられており、そこには「参加予定の地方公共団体 : 都道府県(47団体)及び市町村(1,741団体)」と記載されていました。
そのうち、1,171団体が、「参加予定団体のうち、緊急地震速報を活用した情報伝達訓練や行動訓練を実施する団体」として紹介されており、さらに細かく、次の4種類に分類されていることが分かります。
- (1)住民への情報伝達手段を起動させる団体(733団体)
- (2)住民参加による緊急地震速報対応行動訓練(※)を実施する予定の団体(138団体)
- (3)地方公共団体職員を対象とする緊急地震速報対応行動訓練等を実施する団体(404団体)
- (4)庁内放送を起動させる団体(463団体)
(4)の庁内放送のみであれば、一般の人々に影響はなさそうですが、(1)の「住民への情報伝達手段を起動させる団体」については、緊急地震速報が実際に配信される可能性を感じます。
実際にPDF見てみると分かりますが、2ページに渡るほどで、かなり数が多いことがわかります:
ひとまずここに含まれていなければ対象外だと考えられそうですが、その一方で、含まれている地域だからといって、必ず緊急地震速報が鳴るとは言い切れない(地域の防災行政無線など、他の伝達手段を実施するだけである可能性がかなり高そうなので)あたり、このPDFからはっきりとしたことは分からなそうでした。結局、各市区町村に問い合わせてください、となってしまっています。
結論
結局、公式発表を読み解くと、「ただし、一部の市区町村においては、携帯電話の緊急速報メールにより訓練用の避難準備情報等が配信されたり」との記載があり、少なくとも日本で1カ所は、緊急速報メールが届く地域が存在するのではないかと読み取ることができました。
しかし、その対象市区町村がある程度絞ることはできるものの、明確にここ、というのは個別に市区町村に問い合わせない限り、はっきりとは分からなそうでした。
ということで裏を返せば「絶対に携帯が鳴ることはない」と強く言えるような記載がなかった(言えない微妙な記載があった)とも言えるので、ひとまず警戒して電源を切っておくに越したことはないのではないかと思います(さらに明日の日中電話で問い合わせるなどすればより正確な情報が分かるはずですが、今回そこまではしないことにします)。
付録:具体的な市町村からのお知らせを見てみる
市町村の公式ホームページに掲載されているお知らせを見ると、防災行政無線を使用した放送の予定などを確認することができました:
- 東京都江戸川区(東京23区中唯一情報伝達手段を起動させる区):緊急地震速報の試験放送実施について 江戸川区公式ホームページ
- 東京都立川市:全国瞬時警報システム(J-ALERT)で訓練用の緊急地震速報を放送します | 立川市
- 東京都府中市:防災行政無線試験放送の実施について 東京都府中市ホームページ
- 北海道小樽市:見つからず
- 京都府京都市:見つからず
関連:受信設定の変更・確認方法
そもそも設定が悪く、緊急地震速報の受信設定がオフになっていると鳴りません。設定の変更・確認方法はこちら。
関連:電源オフでも鳴るって本当?
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