【LINE】アップデートで消えた友だちとトーク履歴を元に戻す方法と不具合の原因考察（LINE 4.5.0, 4.5.1不具合対策）【検証情報募集中】

不具合の内容については、リンク先をご覧ください。

• iPhone版LINEのアップデートで友達が全員消える不具合が発生中の模様（LINE 4.5.0） | LINEの仕組み

アップデートに伴って、本当にいろいろな不具合が発生しているのですが、注目されているのは「友だち一覧から誰もいなくなる」不具合と、「トーク履歴が全部消える」不具合です。

情報提供は、次の２つのツイートで行われました。

@did2line あのー それ治し方ありますよ

— 琴浦将貴 (@shyu803) 2014, 7月 24

@did2line i-Funbox(ソフト)などでLINE/Documentsを開いていったんtalk.sqliteを削除し、「.talk.sqlite.migrationdestination_…」 こういうファイルがあるのでtalk.sqliteに変えてあげれば戻ります。

— 琴浦将貴 (@shyu803) 2014, 7月 24

この２ツイートをヒントにこの記事を書いています。

データが消える不具合の原因になっている破損データは、LINEアプリ以下の「Documents/talk.sqlite」です。

このtalk.sqliteは、トーク履歴だけでなく、友だち情報などがごっそり保存されているデータベースファイルです。そのため、これを正常な状態にできればデータが復活します。

壊れている「talk.sqlite」を削除（移動・名前変更でバックアップ）し、代わりに同じフォルダにある「.talk.sqlite.migrationdestination_XXXX」というファイルを「talk.sqlite」という名前にして、置き換えます。以上、これが対策です。

※「.talk.sqlite.migrationdestination_XXXX-shm」「.talk.sqlite.migrationdestination_XXXX-wal」がある場合は、それぞれ「talk.sqlite-shm」「talk.sqlite-wal」に置き換えてみてください。

※とりあえず不具合が発生していない手元の端末では、.migrationdestinationファイルは存在しませんでした。

これがタレコミに基づく復旧方法です

使うツール

Windows環境にて、iPhone内のファイルの閲覧・操作などは「i-Funbox」を利用すればOKです。

以下、この復旧方法が成功することを仮定して、不具合の原因について考察します（手元に不具合に遭遇した端末がないことが本当に悔やまれる）。

マイグレーション

さて、復旧に利用するファイル名からして「マイグレーション」が不具合と関係していそうです。

データベース周りでマイグレーションといえば、既存のデータベースに保存されているデータを保持したまま、テーブルを追加したり、カラムに変更を加えたりすることを指します（参考）。

マイグレーション失敗？

LINEアプリでは、このSQLiteのDBファイル操作に、Apple純正の「Core Data」が使われていると思われます。

このCore Data での データマイグレーションについては、充実した公式資料があります：Core Data Model Versioning and Data Migration Programming Guide: Core Data Model Versioning and Data Migration。

さて、その資料には残念ながら、実装の詳細だからか利用者向けマニュアルだからか、.migrationdestinationファイルについての記述はなさそうなのですが、StackOverflowに次の投稿がありました。

These are files that exist during a migration. If you are seeing these files then your migration failed. Check your crash logs on that device and confirm. （引用元）

ここから、.migrationdestination_XXXX ファイルはマイグレーション実行時の中間ファイルで、マイグレーションが正常終了していれば、削除されているはずで、それが残っているからにはマイグレーションが失敗したに違いない、ということが読み取れます。

つまり、今回のLINEの不具合の原因は、Core Data の マイグレーション実行の失敗であると考えられます。

というわけで、LINE 4.5.0 では、データベースのテーブルの追加削除やカラムの追加削除が伴うアップデートだったと考えられます。

別の復旧方法

ですから、今回の復旧方法では、アプリケーションが前提とするスキーマと、実際の復旧後のtalk.sqliteが不一致を起こす可能性があります。

というわけで、とりあえず.talk.migrationdestinationを救出しておいて、再インストール＆LINEログインを行ってLINE 4.5.0にとって正しいスキーマを作成した後に、talk.sqliteの内容をそこにマージするのが、よりよいかもしれません。

ただ、「マージ」と言っても、再ログインで「友だち情報」や「参加グループ情報」などはLINEのサーバーから再取得されて復旧されるため、マージしたいのは端末のみに保存される「トーク履歴」くらいで、比較的簡単なはずです。

トーク履歴が格納されているテーブルZMESSAGEをとりあえず上書きすれば、だいたい復活するのではないでしょうか。ただ、ZMESSAGEMETADATAなんていうテーブル（空だったから使ってないかも）をはじめ、その他のなんとかMETADATAテーブルなど、整合性チェックが必要なその他のテーブルもあるかもしれません。

いやいや、マイグレーションは仕上げ以外成功済みかも

次の投稿に書いてあるように、実はマイグレーションには成功していて、マイグレーション結果が.talk.sqlite.migrationdestination_XXXXに保存されているのにもかかわらず、talk.sqliteへの置き換えにだけ失敗していたとも考えられます。

I guessed why this error happens.
Maybe user has succeeded migration.
So there are two sql files. appname.sqlite and .appname.sqlite.migrationdestination_xxxx.
Then iOS is going to exchange these files, but if app is killed by some reason, appname.sqlite remains in the middle of deleting. （引用元）

destinationという名前からも、そこにデータがごっそりちゃんと詰まっているのであれば、そこにあったデータは新しいスキーマにマイグレーション済みと考えるほうが自然です。

そもそもどうしてマイグレーションに失敗したのか

「マイグレーション失敗」が原因と言えば原因ですが、それはもっと根源的な原因の結果であって、そちらのほうが重要です。

すぐ思いつくのは、トーク履歴のデータが巨大すぎて、マイグレーションに失敗してしまったというパターンです。

例えば、トーク履歴が巨大すぎると、マイグレーションのどこかの段階でにメモリを大量に消費してし、それが原因でプロセスが落ちてしまい（iOSに落とされてしまい）、マイグレーションが中途半端なままアップデート作業が終わってしまう、というケースです。

ヘビーユーザーが抱え込んでいるトーク履歴の量は尋常じゃないので、そんな巨大ファイルを扱いきれずにクラッシュしてしまったなんてことが容易に想像尽きます（絶対どこかに操作可能な上限があるはず。とりあえずトーク履歴でiPhoneのストレージが足りなくなっちゃったーみたいなユーザーはさすがに無理ではないか）。

対策と症状からしてtalk.sqliteは破損というより空っぽ？

今回の対策で成功するとすれば、.migrationdestinationには、トーク履歴がどっさりつまっていることになります。ここでもし、talk.sqliteがほんの一部破損しているだけで、データがこちらにもどっさり詰まっていたならば、ストレージがマイグレーション時に約２倍必要と考えられます。たしかにそんなこともあるかもしれませんが、ストレージを無駄遣いしないように、そして２倍利用が原因でマイグレーションに失敗しないように、変換したデータを.migrationdestinationに書き込みつつ、変換が済んだデータは.sqliteから削除して、利用ストレージの増加を抑えているかもしれません。

そう考えると、友だちデータがさっぱり消えていしまっている＝.sqliteが空っぽ状態と解釈できます。ただ、それはそれでマイグレーションまで完了して、最後の置き換え時に限って失敗するのが不思議な気もします。２倍必要な実装だったとしても、途中で失敗しないのもなんだか不思議な気がしますが。

このあたりは、実際に不具合に遭遇した端末が沢山あれば、すぐ検証できそうなのですが。。。とりあえずtalk.sqliteと.talk.migrationdestination_XXXXの中身およびスキーマを比較してみたいです。

ここまで考察してみると、マイグレーションの失敗と成功の違いが、不具合に遭遇するかしないかの違いになっていそうです。

となると、失敗する人の傾向として、トーク履歴が大きいことや、iPhoneのストレージ容量やメインメモリなどリソースに余裕が無いこと、古いバージョンから一気に4.5.0へアップデートしたことなどがあるかもしれません。

ここまで書いておいてなんですが、機種変時のようにiTunesバックアップやiCloudバックアップから復元する方法もありそうです。ただ、アプリケーションイメージを復元するわけではなく、アプリは最新版をダウンロードして、そこにデータを復元する感じだったはずなので、対策を取らない限り、何度やってもアップデートに失敗するかもしれません。また、当然バックアップ時点以降のデータは復元できません。とりあえずバックアップからの復元を試すにしても、.migrationdestinationファイルは救出しておいたほうがお得感があります。

• 参考"になるかも"：復元が不完全！？iPhoneバックアップで認証情報が復元できない理由とバックアップのオススメ設定

LINEアップデートしたら友達とか全部消えて焦った(´ρ｀) ここに載ってる方法で復旧できたけど、責任は問いませんよ༾(◉◞હ̱◟◉)༿ http://t.co/kVyjYApqfT

— 勇志⌒ヾ(@･ω) (@yshi_jh28) 2014, 7月 26

• 「iPhone版LINE 5.1.0アップデート後にトーク履歴が消えた」の報告多数注意