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Chromeの最新版(バージョン88)のアップデートが配信開始されて以降、Chromeでアクセスした各種ウェブサービスで表示時刻(時間)が何時間も(18時間、6時間など)ズレていたり、突然「タイムゾーンを変更しますか?」と尋ねられるなど、時刻の表示やタイムゾーンがChromeだけおかしな状態になっている、というトラブルの発生が急増しています。
※「タイムゾーン(タイムゾーン設定)」とは、利用する時刻(日時)を、「日本時間」や「サンフランシスコ時間」など、「どこの地域の時刻を表示しますか?」まわりについての設定のことです。
この問題について、現時点では手元で再現できておらず、詳細情報や対応する不具合登録などを見つけることはできていないのですが、時刻の問題の指摘の多さが気になるため、この問題の特徴について紹介します。
※現時点(1/20時点)では詳細がはっきりしておらず、Chromeのアップデートが原因ではなく、別の要因によるものである可能性もあるため注意が必要です。
※その後不具合登録が行われ、問題の発生の仕組みが徐々に明らかとなり、修正の実装や配信の準備が進められています(2月1日現在)。
※修正版アップデートの配信が開始されました。詳細は「追記7」を確認してください(2月4日現在)。
※3月7日現在、Microsoft Edgeでも同様の問題の報告が増え始めています。詳細はこちら。
※Microsoft Edgeにて同様の報告が増加していることについて追記(3月7日)
※修正アップデートが2月3日配信開始された件について追記(2月4日)
※修正アップデート配信の準備状況について追記しました(2月1日)
※その後の修正状況について随時追記しています(2021年1月26日10時、28日、29日)
※不具合登録について追記しました(2021年1月21日12時30分)
目次
- 1. Chromeの時刻表示/タイムゾーンがおかしい
- 2. 関連する不具合登録は発見できず
- 3. 対処方法について
- 4. 追記1(2021年1月21日):不具合登録が追加
- 5. 追記2(2021年1月22日):対策について
- 6. 追記3(2021年1月26日):現在も対応継続中
- 7. 追記4(2021年1月28日):原因の特定や修正が進む
- 8. 追記5(2021年1月29日):修正版の動作が確認
- 9. 追記6(2021年2月1日):バージョン88ブランチへマージ
- 10. 追記7(2021年2月4日):修正版アップデートが配信開始
- 11. 追記8(2021年3月7日):Microsoft Edgeでも同様の報告が増加中
- 12. 関連:タイムゾーン設定を切り替える方法
- 13. 参考
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Chromeの時刻表示/タイムゾーンがおかしい
本日(1月20日)Chromeのアップデートの配信が開始されましたが、それと同時に「Chromeだけ時刻(時間)がおかしい」「Chromeのタイムゾーンがおかしい」といった報告が増えています。
この問題の特徴は以下のようなものです:
- 一部のサービスで時刻の表示がおかしい(ズレている)
- 一部のサービスで保存される表示がおかしい(ズレている)
- 一部のサービスで、タイムゾーン/地域の設定を変更するかを尋ねられる(例:タイムゾーンをGMT-9:00に変更しますか、等)
- 実際の日本時間と比較して18時間ズレ(6時間ズレ)、9時間ズレ、の報告が多い
- Chrome内の時刻情報のみ正しくない状態で、OS側(Windows側)での時刻表示やタイムゾーン設定に問題はない
- 問題が発生しているユーザーと発生していないユーザーがいる
具体的には、Twitterのタイムゾーンがおかしい(アラスカ)ケースや、YouTubeの表示時刻がおかしい、Gmailで時間がずれる、ゲームの時間がおかしい等、幅広いウェブサービスでの発生が報告されています。
この問題はWindows版Chromeでのみ発生しており、同様の問題はその他のプラットフォーム向けのChrome(Mac版やiPhone/Android版、Chrome OS/Chromebook版、Linux版)では発生していません。
そしてWindowsのタイムゾーンの設定を確認しても特に問題がなく、Chromeの設定上も問題がない(タイムゾーン設定がない)ため原因がよく分からず困ってしまう、という状況です。
関連する不具合登録は発見できず
注:その後不具合登録されました。詳細は「追記1」に追記しています。
現時点(注:1/20時点)でこの問題は手元で再現できておらず、Chromeの元となっているChromiumブラウザの開発者向けの不具合登録システムを検索しても、今回の問題に該当するものは発見できず、未登録なのか、何らかのChrome拡張や特定のタイムゾーン(日本でのみ発生など)、特定の利用環境などで一部のユーザーにのみ発生する問題なのかなどは判別できていません(※タイムゾーンに関する不具合登録の件数が多く、条件がはっきりとしていないため、探しにくい)。
対処方法について
注:2月3日、修正版アップデートの配信が開始されました。詳細は「追記7」を確認してみてください。
注:新しい対処方法(回避方法)を「追記2」に追記しています。
この問題が発生している場合は、利用しているブラウザがChromeであった場合、Microsoft EdgeやSafariなど、Chrome以外のブラウザで同様の問題が発生するかを確認し、問題が発生するサービスに関しては一時的にそちらのブラウザを利用することを検討してみてください。
また、発生したりしなかったりの傾向から、ChromeおよびOSの再起動や、Chrome拡張機能を無効化してみる等の対処を行ってみてください。
追記1(2021年1月21日):不具合登録が追加
昨日(1月20日)不具合登録を検索して「該当するものが見つからない」という状態だったのは前述のとおりですが、その後ちょうど昨日23時頃、次の不具合登録が行われたようで、こちらが今回の「時刻がおかしい」の問題に対応する登録のようです:
再現手順ベースの不具合登録ではなく、「ユーザーフィードバックが多数寄せられている」との形式で、この登録中ではロシアまたは日本のユーザーからのフィードバック/問い合わせが増加しているとされています。対象OSはWindows、対象バージョンは88とされ、今のところChrome最新版アップデート後にWindowsで発生している、との扱いとなっています。
現時点(12時時点)ではまだ再現手順や発生条件について情報を収集している状態のようで、原因の特定(や修正の見通し)はまだ、という状況のようです。ただし高い優先順位が設定されているようなので、引き続きリンク先を見ておくと不具合の改修状況を追いやすいかと思います。
なお、増加している問い合わせの具体例はURLで掲示されていますが多くがGoogle社内向けページ(*.corp.google.com や Case番号のみのもの)であり、一般ユーザーが閲覧可能かつ日本語のものとしては、次のページが参照されていました。
追記2(2021年1月22日):対策について
Windowsの設定にあるタイムゾーンの設定を一度日本(東京)以外のものに設定した後に元に戻すことで問題が解消される場合があるようです。
There is also a report that the problem resolved after the Windows time zone setting was changed to another area and then returned to the original setting.
(引用元)
修正アップデートを待つよりも早く元の状態に戻したい場合には、この手順の実施を検討してみてください(タイムゾーンを変更して戻す操作を行った後もズレたままになる場合は、ChromeやWindowsの再起動も合わせて行ってみてください)。
なお現在も調査中であり、Enterpriseユーザーへの影響も大きく、この不具合が原因でバージョン88アップデートのWindowsユーザーへの配信(自動アップデート)を現時点で全体の10%に留めているようです。
We are still holding M88 release at 10% for windows platform due to this issue.
(引用元)
追記3(2021年1月26日):現在も対応継続中
1月26日現在も問題の再現手順(問題を発生させる手順)が判明しておらず、問題の修正には至っていないようです。
追記4(2021年1月28日):原因の特定や修正が進む
もともとWindows側の返すタイムゾーン情報が想定されていない状態になっているのではないかとの仮説から、タイムゾーン情報を詳細に出力するWindowsプログラム(OutputTimeZone.exe)が作成され、問題が発生している環境からその出力結果を収集する活動が行われていましたが、その結果、取得されるタイムゾーン情報の内容に不正な(おかしな)状態が発見されたようで、こちらに対応するための修正が進められているようです(※ただしおかしな状態になる原因については不明)。
I believe there are actually two issues here:
1. Incorrect/invalid data from the Win32 API GetDynamicTimeZoneInformation.
2. The calculated value for the offset when the Automatic DST setting is OFF.
(引用元)
現在この問題を解消するためのひとまずの回避策(Workaround)として利用されている、「追記2」にて紹介した「タイムゾーンを一度別の設定に変更して再度元に戻す」操作に効果があるあたりも、再設定によりタイムゾーン情報が再作成され、不正な状態が解消されるから、と考えると納得感のある回避策に見えます(※なお、各国の数千の顧客すべてのタイムゾーン設定の変更を行うは規模が大きすぎるといった書き込みもあり、この回避策で個人利用の場合は比較的小さい対応で復旧させることができるものの、Chrome側のアップデートで修正されない状態は厄介な状態のようです)。
その後原因調査が進んだことにより、(最初の)修正がCanary版(安定版の2つ先のバージョンであるバージョン90)に取り込まれるところまで進捗しているようです。しかしそこからバージョン89(1つ先)とバージョン88(現行)のどちらまで修正を遡って適用するかはまだ決定されていないようです(バージョン89までしか入れない、となると、次回のChromeのアップデートである3月2日まで提供されないということになってしまいますし、かなり影響が大きいことから、バージョン88に入るのではないかと思ってはいますが…)。
なお、アップデートの適用範囲の制限を順次拡大し、100%まで上げるとの書き込みもあるため、それ以降ここ数日でバージョン88への自動アップデートがかかるユーザーが増加し、タイムゾーンの問題の影響を受けるChromeユーザーが拡大しているようです。
追記5(2021年1月29日):修正版の動作が確認
問題の再現ができ、バージョン90上での修正確認が済んだとのことです。
ただし前述の通り、今後バージョン89、88、に反映されるかはまだ分かっていません(それ次第で、いつ頃修正版が安定版ユーザー向けに配信されるかが大きく変わります)。
追記6(2021年2月1日):バージョン88ブランチへマージ
前述の修正が、1月30日にバージョン88ブランチにマージ(取り込み)されました(その後バージョン89ブランチにも)。
この後バージョン88のアップデートがChrome安定版に配信されると、Chromeのアップデートでその修正が適用されたChromeが利用できるようになります。
2月1日午前9時時点で、今のところChromeのアップデートの配信は行われていないようです(現在も最新版は88.0.4324.104)。
追記7(2021年2月4日):修正版アップデートが配信開始
2月3日、修正版のChromeアップデート(バージョン88.0.4324.146)の配信が開始されました。
Chromeを手動アップデートして、症状が改善されるかどうか、確認してみてください。
the build with the fix M88.0.4324.146 is now pushing to stable channel for win
(引用元)
不具合登録内でも、配信および修正の確認が行われています。
Upgrade to 88.0.4324.146 done, Chrome restarted.
(引用元)
追記8(2021年3月7日):Microsoft Edgeでも同様の報告が増加中
関連:タイムゾーン設定を切り替える方法
参考
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2021年1月22日(金) 15:40
gmailの時間表示が+6時間表示になっています。
chrome以外のブラウザ(Edge)だとちゃんとした時間表示になるんですが…
chromeの拡張機能「GoogleChrome™のタイムゾーンを変更する」で設定を「Asia/Tokyo(540)」にしたら現在時刻になりました。
一時的な解決にしかなっていないですけど…参考まで。