情報科学屋さんを目指す人のメモ

方法・手順・解説を書き残すブログ。私と同じことを繰り返さずに済むように。

マイナンバーカードの引越し時の住所変更手続きの注意点と署名用電子証明書の失効について

マイナンバー (53) マイナンバーカード (16)

一部市区町村にて、マイナポータルからマイナンバーカードを利用した特別定額給付金のオンライン申請が利用できるようになりました。しかしその申請の際、「電子署名の付与」の手続きで「署名用電子証明書が失効しています」エラーが発生してしまい、そのエラーの原因が「引っ越ししたのに署名用電子証明書の住所が引っ越す前の古い住所のままになっていた」ことだった利用者が多いことに気が付きました。

その件について、妙に数が多いと感じたため、何か原因や背景があるのではないかと考え、マイナンバーカードの住所変更手続き(引っ越しの際に必要な手続き)について調べてみることにしました

その結果、「マイナンバーカードの住所変更」と「マイナンバーカードに内蔵されている署名用電子証明書の再発行手続き」が別々に存在していることを知ることができ、引っ越し時に把握しておくことが重要そうであったため、その調べた内容について紹介します。

まとめ:引っ越し時に確認しておきたい「マイナンバーカード」の更新手続き

まさに引っ越し手続きをしようとしている人向けの情報を冒頭にまとめておくと、マイナンバーカードに記載されている住所情報の更新だけを行っても、「マイナポータル」などでの「電子申請」の手続きで必要となる場合がある「署名用電子証明書」は新しい住所の情報にならない場合がある(=手続きが別)ので、オンラインでマイナンバーカードを利用した各種手続きを今後利用しよう、今後も利用しよう、と考えている場合は、「マイナンバーカードの住所変更」を行う際に、「電子署名に使う証明書(署名用電子証明書)の発行も行いたいです」ということも合わせて伝える・確認するようにしてみてください(特に電子証明書について何も案内がなかった場合)。

また、その辺りについて、引越先の市区町村の公式ホームページに案内がある場合があるため、そちらも確認するようにしてみてください。

マイナンバーカード公式ページの案内

マイナンバーカードの公式ページでは、「引っ越し」や「住所変更」に関して、「よくある質問」の中で次の通り案内を行っています:

引越などにより、券面に記載されている住所等の情報が変更になった場合は、市区町村の窓口において通知カード又はマイナンバーカードの追記欄に裏書きすることにより、記載内容を変更してください

引用元

マイナンバーカードに記載されている住所情報に新しい情報を追記すれば良い、という案内になっています。

公的に個人認証サービス公式サイトの案内

しかし、マイナンバーカードに格納されている電子証明書(署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書)についての公式サイト「公的個人認証サービスポータルサイト」では「転居して住所が変更した場合」について、次の通り案内を行っています:

電子証明書は失効します(ただし、マイナンバーカードの利用者証明用電子証明書は失効しません)。再度電子証明書が必要な場合は、転居先の市区町村の窓口で電子証明書の発行申請を行います。

引用元

ここに「電子証明書の発行申請を行います」と書かれています。これは、先ほどの単なるマイナンバーカードの「住所変更」手続きとは別の手続きのように見えます。

市区町村の公式ページ

そこで、マイナンバーカードと電子証明書それぞれのサイトではなく、市区町村のサイトの情報を探してみたところ、神奈川県横浜市の公式ページに関連情報がありました。

そのページでは、マイナンバーカードを持っている人の引っ越しや結婚などで住所、氏名に変更があった場合の手続きについて案内しているのですが、「注意事項」内の「マイナンバーカードの継続利用について」において、次の通り「マイナンバーカードの継続利用」には手続きが必要です、としています。

横浜市外から転入された場合は、マイナンバーカードの継続利用(横浜市においても利用する)手続きが必要です。(手続きで必要なものは、マイナンバーカードの記載事項変更と同じです)

引用元

しかしその次に「署名用電子証明書について」という項目が続いており、次の通り「失効すること」と、改めて「新規発行する必要がある」こと、が示されています。つまりどうやら、「マイナンバーカードの住所変更」が行われた結果、署名用電子証明書が失効した状態になってしまうため、新規発行の手続きを行う必要があり、最初にマイナンバーカードを発行したときと同様に、改めて暗証番号を設定する必要がある様子が見えてきます。

住所・氏名・性別・生年月日のいずれかの情報に変更があると、署名用電子証明書は自動的に失効します。
引き続き署名用電子証明書を利用する場合は、新規発行の手続きが必要です。(電子証明書の発行には手数料が200円かかりますが、当面の間、無料となっております)
※マイナンバーカードをお持ちのうえ、署名用電子証明書の暗証番号(英数字混在の6桁~16桁)が入力できれば、その場で新しい署名用電子証明書を発行いたします。

引用元

また、東京都目黒区のページでは次の通り、「氏名変更や区内転居した場合のマイナンバーカードの手続き(券面更新)」というページにて、署名用電子証明書に関しては「別途、発行の手続きが必要です」と説明しています。「券面更新」と書かれているとおり、単なる身分証明書としてのマイナンバーカードであれば表記を改めれば良い(券面を更新すれば良い)ものの、署名用電子証明書の新規発行(失効したものを更新するのではなく、有効なものを新しく作って貰う)作業はまた別となる、ということが分かります。

署名用電子証明書の失効
住民票の氏名・住所等の変更手続きを行うと、マイナンバーカードに搭載されている署名用電子証明書が失効します。
e-Tax等で、署名用電子証明書を利用される場合は、別途、発行の手続きが必要です

引用元

マイナンバーカードの「住所変更」と「有効な署名用電子証明書の作成」は別の手続きと考えた方が良さそう

以上から、マイナンバーカードの住所変更はあくまで券面の更新のことを指し、逆に言えばそれだけで住所変更手続き完了で、マイナンバーカードの中に格納されている署名用電子証明書はその際に失効してしまい、それを復活させるには別途「新規発行」してもらう必要がある、ということが分かりました。

市区町村の窓口などでは、このあたりに気を配って「署名用電子証明書も一緒に発行しておきますか?」などと聞いていたりするかもしれませんが、「住所変更だけ行って署名用電子証明書は執行したまま」の状態になり得ることが通常の手続きの中でありえる、ということが今回分かったため、このあたりが原因で「引っ越ししたら署名用電子証明書が使えなくなっていた」が発生し、「役所側の証明書更新作業漏れ、にしては住所が古いままで失効している人が多い気がする」というところの背景事情が見えてきました。

そのため、冒頭でも案内したとおり、「マイナンバーカードの住所変更」とは別に、意識的に「署名用電子証明書」の発行手続きもお願いするようにすると、後々「署名用電子証明書が失効していて使えない」という状態が回避できるのではないかと思います。引っ越し手続きを行う際は、意識するようにしてみてください(また、「一緒に証明書も発行しますか?」のような案内を聞いて、必要なのに誤解して断ってしまう、ということがないように注意してください)。

もうひとつの証明書は?

マイナンバーカードには、「署名用電子証明書」と「利用者証明用電子証明書」の2つの電子証明書が格納できます。

前者はe-Taxのような「電子申請」に必要な電子証明書であり、後者は証明書のコンビニ交付サービスや電子申請ではないマイナポータルの利用(ログインなど)に使用され、発行当時暗証番号が「英数字混合6桁異常」と「数字のみ4桁」と、その暗証番号の形式も分けられていたはずです。

この2つ、用途が違うため、前者の証明書には住所情報が含まれているものの、後者の証明書には住所情報が含まれておらず、転居して住所変更があったとき、前者は「古い住所に対して発行されているので失効」という扱いになるものの、後者は「住所が変わっても影響を受けないのでそのまま利用可能」という違いがあるようで、今回話題にした「署名用電子証明書」については新規発行必須となるものの、もうひとつの「利用者証明用電子証明書」については、特に発行・更新の手続きは不要のようでした。

電子証明書が有効かどうか(失効状況)を確認する方法

「電子証明書の手続きを忘れたかも」と思った場合には、アプリでその内容を確認することができます。次のページなどを参考に、確認してみてください:

コメント(0)

新しいコメントを投稿